警告: 機密情報
レベル2以上のクリアランスが必要です
アイテム番号: SCP-NN-108
SCP-NN-108
図1: SCP-NN-108の標本群 - 撮影日: ██/██/20██
オブジェクトクラス:

Safe

特別収容プロトコル:

SCP-NN-108は、専用の収容ユニットXXXX-α内に保管される。ユニットは内部が分割されたガラスケースで構成され、各標本は個別の棚に安置されなければならない。収容環境内は常に24℃、湿度40%以下を維持すること。また、ケースには監視装置を設置し、標本の増加や移動の兆候がないか定期的に確認する。

SCP-NN-108を扱う職員は、その心理的影響を防ぐため、1日あたりの観察時間を最大15分に制限される。また、SCP-NN-108に接触する全職員は、定期的に心理評価を受ける必要がある。特に、標本の数を正確に数える行為は慎重に行わなければならず、「罪を数える行為」という現象に関連する報告が増加しているため、この行為にはO5評議会の承認が必要である。

収容に関する追加要件:

説明:

SCP-NN-108は、未完成状態のまま保存されている収集物群である。それぞれの標本は均一に梱包され、外観は一般的な収集品の形状を保つが、内部に特異性を持つ。これらが一定数集まると、観察者に対し以下の異常な心理的影響を与える。

  1. 完全密封状態
    • 工場出荷時の未開封状態を維持
    • 外観から内容物の確認は不可能
  2. 観察状態
    • 開封され内容物の確認が行われたもの
    • 組み立て等の作業は実施されていない
    • 元の収納状態に戻されている
  3. 中断状態
    • 一部作業が実施された後、中断されたもの
    • 未完成の状態で再収納されている
心理的影響:

1.満足感の増幅
SCP-NN-108を所有する者は、標本が未完成であるにもかかわらず、それらを単に「所持しているだけ」で十分であるという満足感を覚える。この感覚は観察時間が延びるにつれて強まり、収集物をさらに増やしたいという欲求を促進する。

2.罪悪感の誘発
一部の観察者は、未完成状態であるSCP-NN-108を放置している事実に対して強烈な罪悪感を抱く。この罪悪感は時間の経過とともに蓄積され、最終的には「収集品を完成させる行為」(通称「崩し行為」)への強い衝動を引き起こす。特に、観察者が標本の数を正確に数える行為を行うと、この罪悪感が極端に増幅される。

異常性:

SCP-NN-108は、以下の条件下で異常性を発現する:

SCP-NN-108の内部の様子:

収容ユニットXXXX-α内部は、高さ約4メートルの倉庫型構造を持つ。標本は無数の物資箱に似た形状をしており、それぞれが統一されたラベルとシリアル番号で管理されている。

観察記録によれば、倉庫内の物資箱は不規則に積み重なっており、物理的な崩壊は確認されていないにもかかわらず、一部の観察者は「箱が積み上がりすぎて崩れそうだ」と感じると報告している。この錯覚は、倉庫全体の過密感と標本の均一性による心理的影響と推測される。

倉庫内部の通路は非常に狭く、観察者はしばしば「自分が圧迫されるような感覚」を覚えると述べている。この感覚は、心理的影響の一環と考えられ、長時間の観察は推奨されない。

実験記録 XXXX-1
実施日: 2025年1月15日
監督: Dr. H. Kazami
対象: D級職員3485(タイプB)、D級職員3486(タイプA)

D-3485(タイプB) 00:10 - 不安症状の発現 00:25 - 実験の中止を要請 00:30 - 精神安定剤の投与が必要 D-3486(タイプA) 03:00 - 継続的な満足感を報告 04:30 - 自発的に観察を終了 事後評価で異常なし
"完成されたものには、もう何も残されていない。未完成だからこそ、全ての可能性が永遠に存在する。ただし、その無限の可能性に耐えられる者ばかりではないのだ。"
-- [データ削除]
SCP-NN-108
図2: SCP-NN-108の標本群監視映像より - 撮影日: ██/██/████
実験記録 XXXX-2
実施日: 2025年2月3日
監督: Dr. H. Kazami
目的: 標本状態の遷移過程の観察

結果:
- 完全密封状態の標本の30%が観察状態に遷移
- 観察状態の標本の15%が中断状態に遷移
- 中断状態の標本は状態を維持
- 完成状態への遷移は観察されず
Dr. H. Kazamiの報告より抜粋:
"SCP-NN-108の本質は、その未完成性にあるのではない。むしろ、「完成させる可能性」という永続的な期待状態にこそ、その異常性の核心があると考えられる。"
O5-██による注記:
最新の研究により、SCP-NN-108の各状態間の遷移は、人間の意思決定プロセスと強い相関を示すことが判明。特に、「先送り行動」と「部分的満足」の心理メカニズムの解明に重要な示唆を与える可能性がある。